【病気って何?】
今回は、「健康」の反対、
「病気」について考察していきます。
一般に「健康」とは、
「病気・怪我をしていない状態」
ということが認識としてあると思いますが、
では、そもそも「病気」って何でしょうか?
ここを押さえておくかどうかは、とても重要です。
この世には、
“勝手に”「病気」だとされて
必要もないのに治療を受けさせられ、
無駄な時間と費用をかけられてしまう場合が多々あります。
「病気」の認識をしっかりと持つことで、
無駄なことをする必要がなくなるようになります。
では、まず
一般的な病気の「定義」は存在するのか?
ということから考えてみましょう。
現代日本をはじめとした先進国では、病気を分類する場合、
“西洋医学的な”考えに基づくことが多いです。
日本で病院に行けば、
普通に”西洋医学的な”分類で病名を当てはめられます。
あなたにもそのような経験はあると思います。
そして、西洋医学では病気を
「体の機能、構造、器官などの断絶、停止、障害」
(ブリタニカ国際大百科事典 より)
とみなしています。
すなわち、病気は、
「身体に何らかの異常がある状態」
です。
しかし、では、逆に
「身体が”正常”」
とはどういうことでしょうか?
どんな分野でもそうかもしれませんが、
「正常」という概念そのものは非常に不確かです。
観念的には、おそらく大多数の人が理解できるとは思いますが、
やはり個人差は大きく出てしまうと思います。
例えば、
あなたが仮に普段から頭痛に悩んでいなかったとして、
ある日、急に頭痛が起こり始めた時、
あなたにとっては、「異常」状態ですが、
普段から慢性的に頭痛持ちの人にとっては「正常」状態、と言えますよね?
このように「病気」には、個人差というものがある、
ということはまず押さえてみてください。
さて、もう少し、別のアプローチをしてみます。
病気の本性について、アメリカの医学者エンゲルハートらは
「病気という概念は病人が属す文化や社会のもっている価値や信条によって構成される」
(日本大百科全書 より)
という考え方を提唱しました。
つまり、病気とは
「文化や社会による決めごと」
とであるのです。
病気であるかないか?の区別は、
社会や時代によって異なる、というわけです。
例えば、
マラリアはかなり重大な病気、というのが一般的ですが、
リベリア(西アフリカ)やミシシッピ川上流渓谷地域では、
マラリアを病気とはみなされませんでした。
その理由は「誰もがかかっているから」だそうです。
日本でも、
最近まで「百日咳(ひゃくにちぜき)」や「おたふく風邪」などは、
幼児の発育上避けられない「通過儀礼」の一つと考えられており、
いわゆる「病気」とはみなされませんでした。
逆に、癌(ガン)・高血圧のように
保健医療制度など、社会的・経済的条件によって
病気とされるものもあります。
このように、病気は、個人的な苦痛や不快とは関わりなく、
病気がその時の社会の状況により、
「誰もがかかるものだから」
という理由から、病気とみなされていなかったこともあるようです。
以上のように一口に「病気」と言っても
様々な解釈があることがわかります。
では、次回は、もっと広い観点から「病気」について解説していきます。