“細菌”と付き合う?~細菌5

【”細菌”と付き合う?】

これまで、
僕たちの身体は
自身の細胞は全体の1割程度しかなく
残り9割はそこにくっついた「細菌」によって構成されていて

腸内に限らず、
細菌は身体中の至るところ、
適材適所に湿度や食料ごと多種多様に存在していて、
僕たちの体質や心の状態に影響を与えている

という話をしてきました。

体質や心まで変わってしまうなんて恐ろしいことですが、
それを治療に生かした例があります。

2006年、35歳のカウンセラーであるペギーという人物が
マウイ島で車を運転中に事故に遭遇し、
何度かの手術を受けました。

そして、最後の手術から3日後のこと、
ペギーはひどい嘔吐と下痢に襲われました。

原因は、健康な状態なら罹患率の低い、悪性の細菌でした。

腸内の免疫力が落ちていたことから感染したとみられ、
免疫力低下の原因は、
手術中の感染症予防の目的で使われた抗生物質が、
本来持っていたはずの腸内細菌まで殺してしまったことだ
と推測されました、

そこで彼女は、ある新しい治療法を行うことを決断します。

それが、「糞便移植」というものです。

腸内の細菌群の再構成を目的としたもので、結果は良好でした。

こうした例を並べると、身体の中の細菌やウイルスは、
有害にせよ有益にせよ、
日々人体に密接に影響を与えているくれていることがわかります。

細菌やウイルスを「汚いもの」「悪いもの」
とみなしてしまう傾向がありますが、

このように、細菌が私たちのパートナーであることが充分にわかると、
冒頭の「糞便移植」も、近い未来には嫌悪感や驚きのない、
当たり前の医療行為または体質改善行為として広まっているのかもしれません。

また、日本人は海外の人と比べると小さい微生物や細菌などの
小さいものに愛着を持ちやすいです。

日本人は昔から菌の力をうまく使ってきました。

納豆や味噌、醤油などは菌の力を使わないと作ることはできません。

そのため、僕たちに必要なことは、
殺菌剤・抗菌剤を過度に使わない適度な清潔で、
細菌たちの住環境を整えてあげることが重要になります。

あなたの身体のうち、いわゆるヒトの部分は10%しかありません。

あなたが「自分の身体」と呼んでいる容器を構成している細胞1個につき、
そこに乗っかっているヒッチハイカーのような細胞は9個あることになります。

あなたと言う存在には、血と肉と筋肉と骨、脳と皮膚だけでなく、
細菌が含まれている。

あなたの身体はあなたのものである以上に、微生物のものでもあるわけです。

「あなたの身体はあなただけのものではない」

と思うと、いつもより自分の身体を大切にできそうですね。

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